ダンデライオン

「ああ、うん…」

返事をした私に、
「じゃあ、俺が持ってくよ」

ヒョイと、忍兄ちゃんはボストンバックを持ちあげた。

「えっ、いいよ。

私が持って行くから」

慌てて言った私に、
「これくらい、平気だよ」

忍兄ちゃんは笑った。

ナースセンターにお礼を言った後、総合受付で会計を済ませた。

「すごいね、俺の給料ひと月分だったよ」

「えっ、そうなの?」

私たちはそう言いながら、病院を出た。

「今、タクシー呼ぶから」

そう言って首を動かして周りを見回している忍兄ちゃんに、
「いいよ、そこまでしなくても」

私は止めた。