ダンデライオン

彼がやってきたのは、お昼を過ぎた頃だった。

ソファーのうえで文庫本を読んでいた私に、コンコンとドアをたたく音が聞こえた。

「はい」

ドアに向かって声をかけると、
「麻子ちゃん、元気?」

星野さんが入ってきた。

「星野さん…」

彼の後ろにいたその人に、私は驚いた。

「朔太郎…」

呟くように名前を呼んだ私に、
「入院したって聞いたからきたんだ」

バツが悪そうな顔で朔太郎が答えた。

「でも元気そうだったから安心したよ」

星野さんはそう言って笑った後、朔太郎に視線を向けた。

目があってしまった朔太郎は、彼から目をそらすようにうつむいた。