ダンデライオン

手術の時間である夕方の4時を迎えた。

「じゃあ、頑張ってこいよ」

看護師が押している車椅子に乗っている私に、お父さんが話しかけた。

「うん」

私はほどいた髪を1つに束ねながら言った。

手術室の看板が見えてきた。


「――…さん。

八束麻子さん」

その声に目を開けると、私は病室のベッドで横になっていた。

――ああ、終わったのか。

そう思いながら息を吸おうとしたとたん、口につけられている呼吸器がそれを邪魔した。

笑気ガス(全身麻酔)を吸ったと言うこともあり、のどが痛い。

目を覚ましたばかりと言うこともあってか、それとも全身麻酔の副作用なのか、ひどいめまいがした。

右腕には点滴、左腕には血圧計が巻かれていた。

ピッピッピッ…と規則正しく動いている電子音が聞こえた。

たった今手術をしたせいもあってか、お腹の下辺りが熱を持っているような気がした。