ダンデライオン

徳井さんは俺が教えた仕事をメモをして、わからない時はメモを見ながら仕事をした。

お客様への対応はしっかりと丁寧に、ミスをしても言い訳をしないで頭を下げた。

少しずつだけど、徳井さんは仕事を覚えて1人でこなすようになった。

徳井さんのことを軽視していた先輩たちは、彼女に心を開くようになった。

“専務の妹”と呼ぶ人がいなくなったのは、徳井さんが入社してから1ヶ月経ってからのことだった。

俺は徳井さんのことを“仕事がよくできる部下”として思っていなかった。

彼女が俺に思いを寄せていることを知ったのは、入社してから4ヶ月が経った8月のことだった。


「私、浅井さんのことが好きです」

休憩室で1人で昼ご飯を食べていたところに徳井さんはやってきて、俺にこんなことを言った。

「えっ?」

言われた俺は訳がわからなかった。

「私、入社した時から浅井さんのことが好きだったんです」

徳井さんは続けて言った。