誰かから伝言でも頼まれたのだろうか?

そう思っていたら、
「まだ気持ちは変わらないんですか?」

徳井さんが聞いてきた。

その話かと俺は心の中でため息をついた後、
「変わりませんよ。

俺には好きな人がいますから」

徳井さんに答えた。

「どうしてよ、5年も経っているのにどうして変わらないの?」

納得ができないと言うように、徳井さんが続けて聞いてきた。

「さっきも答えましたけど、俺には好きな人がいるんです」

さっきと同じように答えた俺に、
「私は“専務の妹”よ」

徳井さんが切り札だとでも言うように言った。

「あなたは自分のことをそう言う風に見るのが嫌だと言いましたよね?」

そう言った俺に、
「言ったわ。

でも、私は浅井さんのことが好きなの」

徳井さんが言った。