ダンデライオン

「どうしたんだよ、こんな時間に」

そう言った忍兄ちゃんの顔にアザや傷がなかった。

「造形展に出す絵を仕あげていたら遅くなっちゃったの。

忍兄ちゃんは?」

そう聞いた私に、
「俺は別に」

呟くように答えた声は近くで聞くと、低かった。

「この時間まで頑張ってたの?

えらいね」

忍兄ちゃんは笑った後、私の頭をポンとなでた。

「途中まで送るよ」

忍兄ちゃんは私の隣に並ぶと、一緒に歩き出した。

会ったのは暴力団に襲われたあの事件以来だったけど、しゃべったのは久しぶりだった。

隣を歩いている忍兄ちゃんをチラリと見た。

おじさんの後ろにいた時はわからなかったけど、背が高くなったと思った。