ダンデライオン

予想外のことを聞かされたからと言うのも、理由の1つかも知れない。

「――朔太郎、京都へ行っちゃうの?」

呟いているような声で、私は朔太郎に質問した。

「あの『富士崎』で働けるとなったら、板前志望の身としては感無量だよ。

何年間か京都にいなきゃいけないけど」

「ああ、そうだよね…」

揚場と言う立場だって、最近もらった立場だ。

彼がその立場をもらえるまで時間がかかったことを、私は知っている。

「当然、追いまわし(雑用係)から始めるんだよね?」

そう言った私に、
「『富士崎』に入ることになったら、俺が1番下っ端になる訳だからな」

朔太郎が言い返した。