ダンデライオン

アイスとスプーンを持って縁側に出たら、そこに誰かが座っていることに気づいた。

紺色の甚平姿の忍兄ちゃんだった。

「忍兄ちゃん?」

私が名前を呼ぶと、
「ああ、アサちゃん」

忍兄ちゃんは振り返った。

私は忍兄ちゃんの隣に腰を下ろした。

「ビックリした?」

忍兄ちゃんが私に声をかけてきた。

「ビックリしたって、何が?」

そう聞いた私に、
「俺が突然きたこと」

忍兄ちゃんが言った。

「そりゃ、ビックリしたに決まってるじゃない」

私はスプーンでアイスをすくうと、口に入れた。