ダンデライオン

私は忍兄ちゃんの手紙から顔をあげた。

「それで、住むところは決まったの?」

そう聞いた私に、
「これから決めるところだよ」

忍兄ちゃんは首を横に振って答えた。

「これから決めるところって、荷物はどうするの?

荷物くらい、あるんでしょう?」

続けて聞いた私に、
「家具家電は全部リサイクルショップに出したから、荷物は服のみだよ。

それも今日の午後、アサちゃんの家へ届くことになってる」
と、忍兄ちゃんが言った。

「いや、届くことになってるって…」

手紙を出さなかったうえに、気づかなかった私も私な訳だけど。

「まあ、いいじゃないか。

忍くんには良太の部屋を住居として使わせればいいじゃないか」

お父さんが言った。