ダンデライオン

その人とは、何でもないんだよね?

婚約者は、私だよね?

じゃあ、その人は何なの?

その人と朔太郎は、どう言う関係なの?

言いたいことはたくさんある。

だけど、唇が震えているせいで何も言うことができない。

足を動かして、朔太郎のそばへ行くこともできない。

目の前が暗くなった。

「――アサちゃん…」

違う、私の目を忍兄ちゃんの手が隠したんだ。

目の前が暗くなったのは、忍兄ちゃんの手が私の視界をおおったからなんだ。

「こっち、行こうか?」

忍兄ちゃんに手をひかれるように、私はその場を立ち去った。