サラサラなマロン色のロングヘアーを揺らしながら、いつもは大きくて可愛い目を細めて、身を屈めながら顔をのぞき込んでくる。



「わっ!
澪すごい目ぇはれてるよ?! 大丈夫?
何かあったの?」



「……ううん、何もないよ……ちょっと寝不足なだけ」



「大丈夫じゃなさそうだけど、ふらふらしてるし……。
保健室行った方がいいかも」



「あ、うん。そうだね……頭も痛いし、保健室に行こうかな」



正直そう言ってもらえて、ちょっとだけ助かったと思ってしまった。



今は夏彩の顔を見たくないし、授業をちゃんと受けられる自信もない。



授業中に辛いこと思い出して、また誰かに迷惑をかけてしまうかもしれない。



そう思って、私は教室とは反対方向の保健室へと足を向けた。