「あ~ほんと最悪……。
琢也にすんごい迷惑かけちゃったのに……
まだ、裕一郎の顔思い出しちゃう」



ひどくなると分かっていながらも、目を擦りながら学校への道を左右に揺れて歩く。



学校に到着して、よろめきながら靴を履き替えていると、
後ろから明るい声を掛けられた。



「澪おはよ~!」



その声が私の身体と心を震わせる。



いつも私を笑顔にしてくれる、大切な親友 

夏彩の声だった。



いつも笑顔にしてくれるのに、やっぱり今日は駄目だな。


全然笑えない。



俯いてなるべく顔を見られないように、動揺を抑え込みながら小さな声で返す。



「お、おはよう」



「何、澪? 元気ないね。
どした?」



心配そうに優しく掛けられた声が、何故か白々しく私の頭の中で響いた。



こんな風に思ってしまう自分が情けない。