美鈴が帰ろうとすると、凛が言った。

「あのっ、友達になってくれませんか。」

「えっ・・私?」

「うん。私、頑張って音羽さんのこと応援するから。」

「・・こんな私でよければ。」

「ありがとう。じゃあね。」

そういうと、凛はかえって行った。

凛が帰ると美鈴は一気に緊張が解けて、その場にしゃがみこんだ。

大きなため息を一つつくと、時計を見た。

もう5時になろうとしていた。

「えっ!やばっ、部活遅れる。」

美鈴は鞄をとると走り出した。



音楽室に行くと、後輩に元気なあいさつが聞こえた。

美鈴はあいさつに返事をすると、麻希の方へ行った。

「あっ、美鈴。川島さんに聞いたん?」

「うん。大丈夫だった。」

「ほらっ、言ったとおりやろ。」

「そうやったわ。」

二人は笑った。

「美鈴、加代が探してたで。」

「本間?行ってくるわ。」

美鈴が音楽室を出ようとした時、加代が入ってきた。

「美鈴ちゃん、探しててんで。」

「ごめん。どしたん?」

「あのっ、ちょっと来てくれへん?」

「ええよ。」

二人は音楽室を出た。

「あのねっ、あたしさっき神崎に告白された・・・。」

「えっ!!」

美鈴は驚きを隠せなかった。

加代は顔が真っ赤になっていた。

「それで・・、返事は?」

「明日まで待ってって言った。どうしよ・・・。」

「加代はどうしたいん?」

「あたしは・・、神崎のことは友達やと思ってた。でも、あんなに真剣に告白されたん
初めてやし。多分、あたしはこれから好きになると思う。」

「その気持ちを神崎に伝えたら言いやん。」