嘘なんかついてないよ。




「何日も前から、私のために作ってくたんだよね?
普段料理をしないのに、甘いものが嫌いなのに、千尋くんは失敗しても続けたんでしょ?」




「なんで…」




見れば分かるよ……。




ゴミ箱のなかに溜まった袋とか、
ちょっと汚れた絨毯とか、

綺麗だったキッチンが、千尋くんの頑張った証かのように汚れてるもん。




「味とかそういう話じゃなくて、
千尋くんの、愛情がすっごくいっぱい入ってて、すっごく美味しいよ!ほんと…っ」




…あれ、あれ?おかしいな。

なんで私…泣いてるの?




あぁそうか、嬉しすぎて泣いてるんだ。