近くて遠い存在。











「…黒沢さん、何しに来たんだよ」

「あ?」

「邪魔しないでほしい」

「んだと、てめぇ」

「今桜木さんは俺と話をしていたんだ」

「んなこと知るかよ。俺は結奈を迎えに来たんだよ」

「迎えに…?」



あたし、晃に迎えに来てなんて頼んでないのに…
それに、晃はさっきまで咲希と一緒にいたはずじゃ…



「それと、俺見たんだ。鮎川さんが黒沢さんに告白してたところ」

「おい!てめぇ!」




晃は急に慌て始める。
…小柳くんも知ってたんだ。



「俺は、桜木さんが好きだ。だから、黒沢さんは鮎川さんのところに行った方がいいと思うよ」




そう言って、小柳くんはあたしの腕を掴んだ。



「触んな!」



しかし、晃が小柳くんの腕を掴み上げる。
…晃、どうしたの!?



「お前、何か勘違いしてねぇか?」

「どういう意味だよ」

「俺が、アイツと付き合うなんていつ言ったんだよ?」




えっ…?
じゃあ、もしかして…



「断るに決まってんだろ」

「やっぱり、お前…!」

「じゃあな」

「…わっ!あ、晃!?」



晃はあたしの腕を掴み、歩き出した。
小柳くんはただ、突っ立っていた。

…そっか、断ったんだ。
あたしはホッとした。
…って、なんで安心してんの!?
あたしは別に晃のこと…!



「…お前も知ってたのか?」

「えっ?」

「俺が告白されてたこと」

「うん…」



すると、晃は立ち止まった。
見ちゃったこと、怒ってるのかな…?



「晃…」

「俺は、誰とも付き合う気はねぇから」

「…え?」

「俺が好きになった奴以外、付き合うとかあり得ねぇ」




…それって、晃に好きな人がいるってこと?
…なんでだろ、胸の奥がモヤモヤする。



「…お前だけには誤解されたくなかったから」

「うん…」

「…風邪引くなよ!バカ!」

「痛ぁ!」



晃にデコピンをされ、額を抑える。
…もう、女子にデコピンするなんてヒドい!
晃は笑いながら、部屋に戻って行った。

…あたし、最近変だよ。
今まで、晃に抱いてきた感情とは違う。
あたし、晃のこと……