季節は夏。
ジリジリとあたしたちを照らす太陽。
一所懸命に鳴き続ける蝉。

明日から、待ちに待った夏休み!



「結奈、夏休み予定ある?」

「特にはないけど…」

「じゃあさ、あたしと海行かない!?」

「行きたーい!」

「よし!嫌なことは全部忘れよう!!」

「真尋…」



真尋には、朝倉先輩のことをすぐ話した。
そしたら、真尋はすごく怒ってくれた。
そして、一緒に泣いてくれた。
…きっと、あたしを元気づけるために誘ってくれているんだと思う。
…ありがと、真尋。



「やっぱり、人数は多い方がいいよね!盛り上がるし!新しい恋が待っているかもしれないし!」

「う、うん」



…なんだか真尋、すごく気合が入ってるな。
…真尋も朝倉先輩のことがあったもんね。
あたしもいつまでも引きずってちゃダメだよね!



「じゃあ、あの2人誘っておいてね!」

「えっ!?…あの2人は行くかな…」



真尋の目線の先は、晃と蒼だった。
でも、晃は面倒くさいとか言いそうだし。
蒼は、人が多いところが嫌いだし。
…とても乗ってくれるようには思えないけど。



「あの2人って、よく見たらイケメンだよね!」

「えっ?晃と蒼が…?」



あたしは晃と蒼を見つめる。
…今までそんなこと考えたことなかった。
…他の人からは、そんな風に見られてるのかな?



「イケメンがいたほうが女子的には盛り上がるでしょ?」

「そうかもしれないけど…」

「あたしもイケメン誘っておくから!…よろしくね!」

「…あ、真尋!」



そう言って、真尋は教室から出て行ってしまった。
…頼まれた以上、なんとしてでも誘わなきゃだよね。


あたしは、2人を賛同させる作戦を考えていた。
…成功しますように!