次の日。
あたしは真尋とお昼を食べようとしていた時だった。
「おい、結奈」
「どうしたの?」
晃が、あたしの席にやって来た。
「…行くぞ」
「へっ…!?」
すると、晃は突然あたしの腕を掴んで走り出した。
あたしはよく分からないまま、晃について行った。
晃が立ち止まった場所は…
朝倉先輩の教室だった。
「晃…あたし嫌だよ」
「お前は心配すんな。俺がついてる」
そう言うと、晃はあたしの手をギュッと握った。
晃が頼もしく見えた。
いつも面倒なことはやらないくせに…
どうしてこういう時だけやる気になるのよ…
「…あっ!おい、てめぇ!」
すると、晃はタイミングよく出てきた朝倉先輩に声をかけた。
あたしの心臓はバクバクだった。
…できれば会いたくない。
…でも、今は晃がいる。
あたしは、晃の手にギュッと力が入る。
「…結奈ちゃん」
朝倉先輩は晃の隣にいるあたしに気づいた。
…どうしてそんな悲しい顔してるの?
泣きたいのはあたしの方だよ!
朝倉先輩は、こちらへ近づいて来た。
「…結奈ちゃん、話したいことがあるんだ」
「てめぇ、自分が何したか分かってんのか!?」
「…誤解だよ、俺は…」
…言い訳なんか聞きたくない。
…ほんと、最低!
パチン!
「…!?」
あたしは、気づいたら朝倉先輩に平手打ちしていた。
…こんな男を少しでも好きになった自分も情けない。
「あんたの顔なんて二度と見たくない!」
「…結奈!」
あたしは涙を堪えながら、走り出した。
「てめぇ、一生結奈の前に現れんな!」