予想通り、人はいなかった。
あたしは一安心して、ベンチに座り込む。
…涙が止まらないよ。
…やっと、先輩の気持ちに応えられると思ったのに。
…どうして?どうしてなの!?


あたしはひたすら泣いた。
…授業、サボっちゃおうかな。
こんな顔で教室戻りたくない。
それに、今は授業とかどうでもいい!
…帰ろうかな。



「…結奈?」



…え!?
この声って…晃?
ど、どうしよう…!
足音で少しずつ近づいてくるのが分かった。



「…お願いだから、独りにして」




あたしは顔を背けながら言う。
涙のせいで顔がグシャグシャ。



「お前、泣いてるのか…?」

「…泣いてないから!」



お願いだから、こっちに来ないで!
…今は誰にも会いたくない!

…でも、そんなあたしの思いは届かず。
晃があたしの隣に座ったのが分かった。
…晃のバカ。



「…アイツなんだろ?」



…そうだった。
あたしは、あの時に言われた言葉を思い出した。

『アイツだけはやめとけ』

…晃が教えてくれてたのに。
あたしは…信じなかった。
…バカなのは、あたしの方だ。

そう思ったら、また涙が溢れてきた。
…止まらない、止まらないよ。



その時だった。
あたしは、晃に抱き締められていた。
…優しくて、落ち着く。