「…えっ!優馬が狙ってた子って、桜木だったの!?」
「俺も前から可愛いって思ってたんだよなぁ!」
「…それがさ、意外と手こずってて」
「…マジ?珍しいじゃん、優馬が苦戦してるなんてよ」
…苦戦?
…どういうこと?
「今までなら、キスしただけで落とせてたのになぁ」
「うっわ〜、女の子可哀想〜!」
…え?
キスしただけで落とせる…?
あたしは頭の中が混乱してきた。
「…でも、今回はキス拒まれちゃってさ。初めてだわ、あぁいう女」
「へぇ!優馬で落とせないなら俺らはもっと無理か!」
「何言ってんだよ!…俺に落とせない女なんていねぇんだよ」
…なにそれ。
…最低。
あたしは、頭の中が真っ白になった。
…今までの先輩はなんだったの?
あたしが好きだった先輩は誰なの?
…冗談じゃないよ!
あたしはその場から逃げようとしたが、足が震えて動けない。
その時、足元に転がっていた空き缶で足を滑らせてしまった。
「…きゃあ!」
…しまった!
「…誰だよ!」
あたしは急いで起き上がり、走って逃げた。
「…結奈ちゃん!?」
…ヒドい。
どうして…?
どうして、騙してたの?
あたしは泣きながら、中庭に向かった。
もうすぐでお昼休みが終わるから人はいないはず。