近くて遠い存在。











「…どうした?殴れよ」

「…チッ」



俺は舌打ちをして、コイツの胸倉を離した。
…今は我慢するんだ、俺。




「お前だけには絶対渡さねぇ」



俺はコイツをキッと睨んで、校舎の中へ入った。
…やっぱり、コイツは危険だ!
何考えてんのか分かんねぇ…

早く結奈に教えねぇと…!




放課後。
アイツのことを話すため、俺は結奈の席に行った。



「…結奈、ちょっと話してぇことあるんだけど」

「ごめん!あたし、今日も朝倉先輩と帰るの」

「そのことなんだけどよ、アイツは…」

「…結奈ちゃん!」



そう言いかけた時、教室の外から声が聞こえた。



「…あっ!先輩!」

「アイツ…!」



アイツは俺の行動を読んでいたかのように姿を現した。
結奈はアイツの元へ駆け寄る。



「じゃあ、ばいばい!」



結奈は俺と蒼に手を振って、出て行ってしまった。
…ダメだ!ダメなんだよ!!



「結奈…!」



俺は追いかけようとした。
しかし、またもや蒼に腕を掴まれる。



「…お前、見守ってやれよ」

「は?ふざけんなよ!」

「ふざけてるのはお前だよ!…結奈の気持ち、考えてやれよ」



蒼が怒鳴るなんて、珍しい。
俺は考えた。
もし、結奈がアイツのことを本気で思っていたら俺は邪魔者なのか…?
…でも、アイツは最低な奴だ。
そんな奴と2人にさせていいのか…?

…分からない。
どうしたらいいんだ?

俺は、その場に立ち尽くしてしまった。
…俺って、バカだな。