「…てめぇ!!」
俺はカッとなってコイツの胸倉を掴んだ。
でも、コイツは少しも表情を変えなかった。
「暴力はよくないね」
「てめぇのことなんかどうでもいいんだよ!」
「…じゃあ、君は俺が結奈ちゃんに何をしたと思ってる?」
「…どういう意味だよ」
「…まぁ、安心してよ。エッチなことはまだしてないからさ。…まだね」
「てめぇ!!」
俺はコイツを殴ろうとした。
…でも、瞬時にあの時のことを思い出した。
まだ小学校低学年の頃。
結奈が虐められていた子犬を助けようと上級生の男子集団に声をかけた。
しかし、逆に標的になってしまった結奈は暴力を受けそうになっていた。
そこに、たまたま遭遇した俺は上級生相手に殴りかかった。
ボコボコにされたけど、結奈を守ることができた。
でも、あの時言った結奈の言葉は今でも覚えている。
『助けてくれてありがとう。…でも、殴っちゃダメ』
俺は、あれから殴るのはやめようと思った。
…でも、結奈を守るためにはもっと強くならなきゃいけない。
だから、結奈のいないところでケンカしたこともあった。
今では、昔と比べて強くなったと思う。
…結奈が望まないことなら俺はしない。
けど、今は結奈のためなんだ…!

