中庭のベンチに座ってお弁当を食べる。
あの2人以外の男子と一緒にお昼食べるなんて初めて。
「…わぁ、結奈ちゃんのお弁当すごく美味しそう!」
「ありがとうございます!」
「優しいお母さんだね」
「あっ…いえ、今日は時間があったので自分で作りました」
「えっ!そうなの!?すごいね!」
あたしの唯一の特技は、料理。
家事は全般的にできるけど、1番自信あるのは料理。
一度お母さんに教えてもらってから楽しくてハマっちゃったんだよね。
「…先輩は、コンビニですか?」
「うん。うちの親、料理が苦手でさ」
「そうなんですか…」
初めて知った、朝倉先輩のこと。
少しずつお互いのこと話していけばいいんだよね。
「だから、結奈ちゃんお弁当見たとき羨ましかったな」
「よかったら、どうぞ」
「えっ!いいの?」
「はい。先輩のお口に合うか分かりませんけど…」
「ありがとう!じゃあ…卵焼きがいいな!」
「いいですよ」
あたしはまだ使っていない箸を先輩に渡そうとした。
しかし、先輩は受け取ってくれなかった。
…あれ?どうしたのかな?
「…結奈ちゃんが、食べさせて欲しいな」
「えぇ!?」
た、食べさせる…!?
そんなこと、やったことないよ…!
は、恥ずかしいし…
「…俺じゃ嫌かな?」
「そんなことないです!そ、その、恥ずかしくて…」
「照れてる結奈ちゃん、すごく可愛いね」
「からかわないでください!」
「1回だけ!…ね?」
「…1回だけ、ですよ?」
あたしは箸で卵焼きを掴み、先輩の口へ運ぶ。
先輩は口を開けて、パクッと一口。
その時、ドキッとした。
…先輩、可愛いな。
いつもは大人っぽくて紳士的なのに、今は子供みたい。
あたしは微笑ましくて、笑った。
「なんで笑ってんのー?」
「ふふっ。秘密です!」
「ヒドいなぁ。結奈ちゃん意外とSだね!」
「えぇ!?ち、違いますよ!」
あたしは先輩と笑い合った。
…先輩とだったらやっていけるかも。
あたしは、そう思った。
…心の準備ができたら、先輩に伝えたい。
この気持ち……

