近くて遠い存在。










あたしと先輩はベンチに腰掛ける。
周りにはカップルの人たちが多かった。
…なんか、急に緊張してきた。



「…結奈ちゃんは、俺といてどうだった?」

「楽しかったです!」

「…俺も」



すると、先輩はあたしに顔を近づけてきた。
…もしかして、これって!?

『アイツだけはやめとけ』

何故か晃の顔が浮かんできた。
そして、あの言葉も…



「…ごめんなさいっ」

「…結奈ちゃん?」



あたしは気付いたら先輩を抑えていた。
…あたしのバカ。
どうしてこんな時まで晃が出てくるのよ!



「…まだ少し早かったかな」



そう言って、先輩はあたしから離れた。
…どうしちゃったんだろ、あたし。
べ、別に初めてが先輩でもいいじゃない。
…ってか、初めてが先輩だなんて光栄じゃない!

…あたしは、恋愛経験が今までなし。
告白されたことはあるけど、付き合ったことはない。
…どうしてかは、あたしにも分からない。



「そろそろ帰ろうか。日が落ちてきたしね」

「…はい」



あたし、先輩に悪いことしちゃったな。
こんなにもあたしのことを好きでいてくれているのに、どうしてあたしはそれに答えてあげられないんだろう?
これじゃあ、昔と同じじゃない…



先輩はあたしを家まで送ってくれた。
…優しいなぁ。



「…今日はありがとうございました」

「うん。またね!」

「はい…」



あたしは先輩が見えなくなるまで見送った。



あたしは部屋で考えていた。
…今日1日、先輩といてすごく楽しかった。
あんな素敵な先輩と付き合えるなんて夢みたいな話だ。
あたしだって、先輩にドキドキさせられて…
意識しちゃうことだってあって…

…あれ?
これって…好き…なの?