「あのね、真尋…」

「うん」



心臓の音がうるさい。
もしかしたら、真尋に嫌われるかもしれない。
それでも、真尋に隠し事するよりマシ!



「ごめんなさい!…あたし、朝倉先輩の連絡先聞いちゃったの」

「えっ…?」

「それと、今日…告白…されたの」

「…」



あたしは目一杯、頭を下げた。
真尋、今どんな顔してるかな…?
怒ってるかな?泣いてるかな?
…ほんとにごめんね、真尋。



「…すごいじゃん!結奈!」

「え…?」



あたしはビックリして、思わず顔を上げる。
真尋は笑顔だった。



「やっぱりねぇ!朝倉先輩、結奈のこと好きなんじゃないかなぁって思ってたんだよねぇ〜!」

「でも、あたし…!」

「いいの、いいの!…あたし、結奈のこと応援するよ?」

「真尋…」

「それに、あたしにとって朝倉先輩は雲の上の存在って感じだし!」



…でも、真尋は無理してると思う。
本当は好きだったのに、あたしに笑顔で振る舞ってる。
…真尋の顔、引きつってるもん。



「ほんとに、ごめんね…」

「もう、そんな顔しないでよ〜!…それより、結奈は朝倉先輩のこと好きなの?」

「…え?」

「告白されたんでしょ?なんて返事したの?」

「…まだしてない」

「そっか。…でも、結奈が朝倉先輩と付き合うことになってもあたしは結奈の味方だから!」

「…ありがとう、真尋」



あたしはグッと涙を堪えた。
…真尋が親友でよかった。

あたしたちは教室に戻った。
…早く返事しなきゃだよね。
…でも、真尋のために朝倉先輩と関わってただけで好きなのかよく分からない。

…それに、さっきの晃の言葉が気になる。
『アイツだけはやめとけ』
…なにか知ってるのかな?
…いや、晃が知ってるわけないよ。
他人には興味なさそうだし。