「こっちに友達とかいるん?」
「まあそれなりにね」
「彼女も?」
「いいや、それはいないよ」
「じゃあさ…」
続きを言おうとしない君は、うつむいたまま両手の指を絡ませて、口は固く結ばれたままだ。
「やっぱりいいや、なんでもない」
表情は曇ったままなのに、妙に声は明るくて、僕には理解しがたい君は、それ以上話すつもりは無いようで、またテレビに釘付けになった。
「さっきから気になってたんだけどさ、フランス語の番組見て理解できてんの?」
「理解してるかしてないかで言うと…日本語が好き」
「意味がわからない」
そう言って君と笑いあって、今の時間を満喫する。
「そういえば、なんでフランスに来たの?」
君に会ったときからの疑問をやっとぶつけた。
「悠真を探しにきた」
「なんで?」
「なんでってか…なんとなく…かな…」
「なんだよそれ」
君の曖昧な回答は、僕の頭を混乱させるだけで、なんの解決もしなかった。
でも、それでよかったのかもしれない。


