「痛っ。」
私は、思わず声を上げた。
何が起きたのか、さっぱり分からなかった。
暗闇の中を歩いていて、目の前にある電柱に気づかずに衝突してしまった感じだ。
私の背中のあたりでは、ついさっき私に一撃を与えたと思われる物が、元気にポンポンと弾んでいる音がした。

状況を把握するのに、10秒くらいかかった。

―ここは体育館。
おそらく、何かボールでも飛んできて、私の頭に見事に当たったのだろう。
痛みから察すると、結構痛かったからバスケットボールかな。
私は、中学生の頃に部活でもやっていれば、反射神経が鍛えられて避けられたかな、なんて中学生の頃の自分の行動を少し後悔した。