【番外編】 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

「で、白ちゃん。黒虎兄さんの友人情報は?」

「ん〜、黒の女友達で私が知ってるのは〝マスタガラ〟って人くらいかな。」


マスタガラ...?
どっかで聞いた気がする。
マスタガラなんて知り合い居たか?
覚えてねぇー、なら仕方無いな...。


「マスタガラ...セルリア、知ってるかい?」

「知らねぇー。」

「フルネームとかで知らないの?白ちゃん。」

「フルネームねぇ...えっとー...確か...、
シェバなんとかマスタガラだった気がするわ。」


シェバ...シェバッ!?
動揺のあまりガタっと音を立ててしまった。
2人の視線が俺に集まる。


「心当たりが有るようだね。セルリア。」

「うっ...」

「セルちゃん知り合いだったの!?」


言うべきなのだろうか。
まぁ、言ったとして俺とシェバは良い仲というわけではない。
...言ってもいいか。俺は知らない。


「掃除屋の護衛をやってる奴だ。グレーの髪で筋肉質な女だよ。」


ギフトは両手の指先を重ねて微笑んだ。


「白ちゃん!良かったじゃないか!!これで誰かを特定できたんだ。もう用は無いだろ。店に帰りなよ。」

「......そうね。」


ギフトに促され白虎は大人しく帰った。
肩の重荷が降りたと言わんばかりに、背伸びをして溜息をついている。
ギフトは俺の隣に座り直すと、テーブルに突っ伏した。


「これで解決だね〜。あぁ疲れた。」

「特に何もしてねぇーだろ。」

「無駄なプレッシャーが無くなったって事さ。」

「お前もプレッシャーなんて有るんだな。」

「無いよ。唯一般的にあの状態はプレッシャーが掛かっている状況だろ。」

「何がしたいんだ?」

「一般人の演技。」


ギフトの考えが全く解らない。
自分が知りもしないものを、演じる事など出来るというのか。
...ギフトなら出来るかもしれないな。
鋭い洞察力と回転の速い脳があるのだから。其れだけならケビンと似ているのだけれど、歪みきった性格だけは誰にも似ていない。寧ろ誰にも似ていないからこそ誰かの演技を真似る事が可能なのか。

らしくないな。
こんな果ての無い考えに耽てしまうなんて...。
まぁ、俺が考えたところで何かが変わるわけではないがな。
無駄な労力は控えよう。

其れにもう問題は解決したのだから。