気が付けば少し開けた広場で足を止めていた。
僕らしく無い...こんな事で動揺するなんて...。

佇んでいたぼくに誰かがぶつかった。
体がよろめいたが、幸い倒れる事は無かった。


「於保(おお)、ごめんよ。」


ぶつかった人は心配そうな声で、ぼくに声を掛けた。
声から男性だとすぐに解った。
顔を上げると少々猫背気味で罅(ひび)のはいった眼鏡を掛けた男性が、申し訳なさそうにぼくを見下ろしていた。


「大丈夫です...お構いなく。」


余り関わりたくもなかったので、ぼくは冷たく対応する。
男性は安心の言葉を言って、何処かへと行った。

其れにしても、あの男性...気持ち悪い目付きだったな。
人間卑しくて当然だから、疑う事も無いんだけどね。

ふと広場の隅にベティと思われるお姉さんが見えた。
何もする事が無いので、取り敢えずぼくは其のお姉さんの元へ向かった。