「私を...殺してもらえますか。」


そう言ったタイムの目には光が無かった。
俺はこの瞳を知っている。“絶望”だ...。この瞳は絶望だ。

明るいこの子を其処まで絶望させるものとは、一体なんだ。
ギフトは一息つくと、胸と前で手を組んだ。


「君...余命宣告を受けたね。自分の残り少ない命を僕らが摘んでしまってもいいのかい?」


相変わらずストレートに言うな...。病人なんだろ、労わってやれよ。
俺とギフトはタイムに目をやる。
暫くの沈黙...口を開いたのはタイムだった。


「...残り少ない人生を生きるより、早く終わらせたいんですよ。...もう、苦しみたくないんです。いい加減...楽に...なりたいんです。」


瞳に涙を溜めてタイムは言った。
俺は椅子から立ち上がり、タイムの涙を左手で拭った。
拭い終えると俺は椅子に座った。腕を組んで、足も組むとタイムに言った。


「俺が楽にしてやるよ。如何して欲しい?」


タイムは驚いた表情で俺を見つめていた。
俺も何で殺る気が出たのかは、解らなかった。

苦しんでいるのなら救ってやりたいなどと言う、正義の味方が言いそうな事を自分でも知らない間に、思ったのかもしれない。