お姉さんを家に上げると、ギフトが待ちかねたかのように椅子に座っていた。
こういう時の準備は早いんだよね、ギフトって。
ぼくはギフトやセルリアみたいに、快楽殺人鬼ではないからよく解らないな。
急ぐ必要なんて無いだろうに...。

ぼくはお姉さんを椅子に誘導した。
まだ少し不安そうな顔をしていたけど、逃げるような素振りは無い。
お姉さんが椅子に座ると、ギフトは足を組んで早速お姉さんに問い掛けた。


「で、どんな内容なのかな?君みたいな若い子の頼みというのは、」

「え、...あの...」


お姉さんは手をもじもじさせながら、言葉を紡ごうとしているが、中々言い出せないようだ。
ぼくより年上とはいえまだ若い、人を殺す頼みなんてかなりの覚悟が必要だろう。

例え、自分が直接殺さないとはいえ...。

お姉さんは意を決したようで、1つの大きな深呼吸を行うと両手を握り締めた。


「弟を殺した通り魔を殺して欲しいんですッ!!」

「OK、いいよ。...それで、報酬は何かな?君に払えるのかな?見たところ貧困街出身に見えるけど...。」


※貧困街:貧民街より裕福。しかし其れは、住人が少なくとも家(仮屋など)を所持しているに過ぎない。他は貧民街と差ほど変わらない。

ちなみに僕達が住んでいるのは一般街。人々が其れなりの環境で生活をしている、貧民街や貧困街との差が大きい。

一般街より更に裕福な場所は貴族街だ。これは都市の更に中心部にしか存在しない。
生活の格など言うまでもない...だが基本貴族街に住んでいるものが、裏世界に多く通じている。

さて、そんな貧困街のお姉さんはぼく達にどんな報酬をくれるのだろうか。
お姉さんはポケットの中を探って、1つ首飾りをぼく達に出した。