「ディーブを何処に連れていく気だ?」

「え...私の弟ですよ。この子」

「何寝ぼけた事言ってんだよ。よく見ろ!」


セルリアは強引にお姉さんの頭を掴むと、僕の顔を見させた。
まじまじと見られるのは、いい気分にはならない。
お姉さんは正気を取り戻したのか、申し訳なさそうな表情になった。


「あっ...すいません。」


其の言葉を聞くとセルリアはお姉さんを離した。
お姉さんもぼくを離してくれた。


「ほら、戻るぞ。ディーブ。」


セルリアがぼくの手を引いて家に戻ろうとする。
ぼくは少し気掛かりな事が残っていた、お姉さんの『依頼』だ。
セルリアに少し待つように言うと、お姉さんの方を向いた。


「...“依頼”、あるんでしょ。お姉さんもあがりなよ。」

「マジかよ、ディーブ。お前を拐おうとした女だぞ。」


セルリアに視線を動かす。


「そんな事は関係無い。...殺して欲しい人がいるなら...ぼく等それを殺すだけなんだよ。おいでよ、お姉さん。」


ぼくはお姉さんに手を差し伸べた。
お姉さんは少し戸惑いながら、僕の手を掴んだ。