side:ディーブ
其のお姉さんと出会ったのは、ぼくが野良猫に餌をあげている時だった。
動物を手懐けるのは簡単な事だ、餌を与えて優しく撫でてあげれば、警戒心は殆ど消える。
扱いやすくてぼくは好きだ。

お姉さんはぼく達の家、殺し屋『Sicario』の前を行ったり来たりしていた。
多分依頼をするかしないか迷いながら来たのだろう。
中々先へ進まないお姉さんに痺れを切らして、僕は声を掛けた。


「お姉さん...何時まで人の家の前で彷徨いてるの?」


お姉さんは僕を見ると、何故か凄く嬉しそうな顔をした。そして涙目になりながら、僕を抱きしめた。


「探してたのよ。良かった、死んじゃいなかったのね!」

「え...な、何言ってるの...?」

「さぁ!家に帰りましょう。スープを作ってあげるね、2人で食べようね。」

「ちょ...セルリア!!助けて!」


ぼくは堪らずセルリアを呼んだ。
普段声を張らないぼくが大声をあげたので、慌ててセルリアが玄関から出てきた。
その後ろにギフトの姿も見えた。


「何してんだ、ディーブ。」

「見て解らないの?...連れて行かれてるんだよ。」


お姉さんはセルリア達が眼中に入っていないようで、ぼくを連れていこうとしている。
セルリアは急いでぼくの元まで、駆けてくるとお姉さんの腕を掴んだ。
お姉さんはその時漸くセルリアを認識したようで、驚いた顔をした。