時間になると、俺はドールと共に家を出た。
勿論、俺はドールを正しく認識出来ていない...。
両眼が剥き出しで、口元の肉は腐り果てて歯が見える。指には百足のような虫が巻き付いている。


「大丈夫なの〜?」

「...今はな。」

「アハハ、顔色悪いよ〜。」

「如何でもいいだろ...。」


ドールの五月蝿い言葉を無視して、俺は病院へ足を進める。
家や街頭などの灯りで、暗闇は苦にならなかった。道中は人にも会わず、俺は少しの落ち着きを得た。

ドールがずっと俺に話しかけていたが、大半は聞き流していた。
暫く歩くと目的の病院に辿り着いた。


「如何やってターゲット連れて来るの〜?ねぇ、セルリア〜。」

「病棟へ回って、お前が飛んで連れ出して来いよ。」

「犯罪者みたいだね〜。」


ギフトに似た笑顔で俺に言う。


「殺し屋が稼業なんだ。大して変わんねぇーだろ。」

「ん〜、そーだね。部屋番号は?」

「402号室だ。」

「OK、待っててね。」


そう言い残して、ドールは病棟の方へ走って行った。
頼んでおいて失礼だが、大丈夫なのだろうか...。
今更、不安になった。