化け物もといギフトに連れられリビングに辿り着いた。
其処には小さな化け物がソファーの上に座っていた、おそらくディーブだろう。

ディーブは俺の方を向いたが、ギフトより其の顔が酷かった。顔の左半分が焼けただれており、眼球だった物が溶けて流れていた。
俺は思わず口に手を当てた。


「...冷静さは保ててるみたいだね。幻覚は健在かな。」


首を傾げてディーブはそう言った。


「流石の殺人鬼でも、其の幻覚は辛い?」


抑揚のない声でディーブは俺に問う。


「...お前にも、見せてやりたいさ。」


俺は力無く答えた。
“辛い”だけで済ませられるものではない、地獄だ生き地獄に等しい。


「大丈夫、元に見える頃にはこの記憶は全て無くなってるから...。」

「あぁ...。」


俺はギフトに促され自分の椅子に腰を降ろした、何時もの場所の筈なのに如何しても落ち着かない。

ギフトがディーブに今回の依頼を俺が行うと告げた。
表情など全く解らないが、大したリアクションが無かった事は確認出来た。


「...何時まで冷静でいられるか、解らないよ。...今は薬で何とか冷静でも...。」

「解った。けど...、俺が殺る。」

「君のその気持ちは充分に知ってるよ。だから僕達は止めるつもりは無い。だが、代わりにドールを同行させる。...嫌な顔しないでくれよ。一応保険だよ、保険。」


きっと今ギフトは笑っているのだろう、俺は其の笑顔さえ見ることが出来ない。
確かにこれでは何時正気が失われても、おかしくはない。

俺はドールの同行を承諾した。