side:セルリア
心地よい涼しい風が肌を滑っていく。
この国では夏が始まっていた。
午前中から昼食前の短い時間、俺はTVを見ていた。
とは言っても、この微妙な時間帯には面白い番組など、何も放送されていない。

俺だけしか座っていないソファーに、体を横にして寝そべる。
自然と欠伸が口から漏れた。何も無いこの時間は、俺にとっての安らぎの時間だ。
頭の後ろで手を組むと、少し早い昼寝を始めようとした。


「セルリアッ!!依頼が届いてるよ!!」


突然玄関から現れたギフトによって、俺の昼寝は始まることすら無かった。
俺は嫌々ながらに上体を起こし、ギフトに視線を向けた。

ギフトは俺の顔に依頼と思われる手紙を、押し付けた。
こんな近くで見えるわけ無いだろ。
俺は手紙を顔から離すと、手紙の内容を見た。
一通り目を通すと手紙をギフトへ戻した。


「何だか、ワケありっぽいな...。その依頼。」

「僕的には面白くないけど、依頼は依頼だ。ちゃんとしなきゃね。貰う物も貰ってね。」


ギフトは笑顔で右手の親指と人差し指で輪を作って見せた。
“金”という意味だろう。
俺は冷めた視線をギフトへ送った後、再びソファーに横になった。