「僕の家のウサギを知ってる?
アリスって言うんだ。
ご主人様に可愛がられているんだ。
彼方の名前は?」

それにも彼方は答えなかった。


「・・・もしかして名前がないの?
だから泣いているの?
だったら泣かないでよ。
僕だって名前がないんだから。」

「じゃあ僕が名前を付けてあげるね。
彼方は・・・」

ふいに丘にある一本の柳の木が目に入った。

「青柳さんはどう?」




「あのね柳っていう木が彼方に似ているの。
柳はね、いつも悲しい顔をしていて、いつも一人でぽつんとしているの。


でも、大きくて皆の目をひく存在なんだよ。