ガラー・・・



教室の扉を開けると、

数学担当の教師が一端あたしをジロリと見てから
再び黒板に視線を移した。


ー最悪だ。よりによってあたしの大嫌いな数学の時間に登校してしまった。


あたしは自分の席に着くなり2度目の深い溜め息をついた。


もうあたしの遅刻なんていつものことだから
みんなあたしの方を見向きもしないで

もくもくと授業を受けている。


そのおかげでみんなに注目されないで済むんだけどね。


ただ1人、小学校からの付き合いであたしの親友となるミサは
毎日あたしが教室に入ると笑顔でおはようと言ってくれる。


ミサは他人思いで、人のいいヤツ。

おまけに顔もよくて男女問わず誰からも好かれている。
ミサのことを嫌う奴なんてほとんど・・・いや、まずいないだろう。


「おはようひかる。今日はタイミング悪いね」


あたしの座る位置から斜め前の席で今日もにこにこした笑顔を向けるミサ。


「ホント。今日はツイてないや」

「まだ始まったばっかでしょ」

ミサはそう言って苦笑した。


「今日は何時に起きたの?」


「んー9:00ぐらい?」

「じゃあいつもより早いね」


「うん」


この流れがいつものあたしとミサの会話。


一通り話し終えた後、

あたしは自分の持ってきた鞄を枕に目を閉じた。