「いいや思っていたはずだ。そして今、殺人犯の疑いが自分にむけられていないことに、お前は安心しているんだ!」



・・・気づいてなかった。


たしかに、そうだ。今僕の気持ちに、不安はない。

僕は落胆した。

「所詮兄さんは、偽善者なんですよ。
いい子ぶって。大して俺たちと変わらないくせに。」

ほんとうに、扇の言う通りだった。



今まで正しいと思ってきたことは、
全部自分を守るための言い訳だったのかもしれない。

そう思ったら、自分が許せなくなった。