黒イセカイデ。

丁度左胸あたりを狙った。

骨には当たらず、
きれいに奥までナイフが入った。

そのあと、足で蹴って朝田の体を仰向けに倒し
ナイフを抜いた。

ホームレスは首の頸動脈を切った。
ひどく血が飛び散った。

僕のブレザーをよく見ると、
血痕らしきものがあった。

「うっ、、。」

僕の身体から血の匂いがする気がして、
吐き気がした。

あ、思い出した・・・。

小学2年生の夏にコンクリートの上で転んで、
ガラスの破片が刺さり、血が止まらなかったことがあった。

僕はそれが怖くてしょうがなかった。

自分の中に流れる赤い液体が、気持ち悪かった。
僕は血が嫌いだったのだ。
なのにあんな出血を見てもなんとも思わなかった。

きっとあれは僕じゃない。