黒イセカイデ。

「まず先に言っておくが、私はお前の父親で、こいつはお前の弟だ。」

弟?

思い出した。僕が捨てられる前、
お母さんのお腹の中にいた子だ。

「扇(せん)です。」

初めて会った弟は、冷酷な目で僕を見ていた。

「ところで朔、お前は覚えているか。
あの夜に私が言った言葉を。」

嫌という程覚えている。

僕は無言で頷いた。

「ならば話は簡単だな。
気づいてるかとも思うが、私たちはお前を迎えに来た。」