甘やかな螺旋のゆりかご



……結果としては散々。


冷静に考えればそうでしかない。


兄とわたしは、血縁のある兄と妹だった。


馬鹿だなわたしは。


あの母親だった人なら父以外との子どもを父の子だと言ってしまうのは容易だ。兄とわたしのどちらかは、もしかしたらそうかもしれない。…………けれど、種が違っても畑が一緒なら意味のないこと。あの母親だった人が、全くの赤の他人を引き受けるわけがない。実の子だってああだったのだから。


ちゃんと、頭のどこかではわかっていた。それでも希望に縋りたくなったのだ。……馬鹿だな。もしそうであったとしても、兄がわたしを受け入れるなんて。妹なわたしを。


想像以上にショックだった結果に、わたしはしばらく探偵事務所のソファーに深く沈んでいた。


こんな小娘が、自分の全財産を握りしめて事務所の門を叩く。実入りの少なそうな探偵は、実は優秀だったらしい。わたしの依頼内容や、結果への態度、兄のことを質問された際のわたしの反応で全てを悟ったようだった。


「いつか、お兄さんよりも大切な人が現れるさ」


錯覚だと、気の迷いだと笑わなかっただけ、やはり優秀なのだろう。探偵は、わたしにココアを手渡してくれながらそう言った。


兄の前で、もうわたしが泣くことはない。もう堪えることが出来る。兄に負担などかけたくはない。


「…………っ……」


わたしは、他に客など見たこともない事務所の中、無言の探偵を前に号泣した。


そんなことあるわけがないっ。兄より大切な誰かなんているはずがないっ。思春期の勘違いかもとも考えた。苦しいその考察は、兄を想ううえで必要なことだって頑張った。他の男と、嫌だったけど一緒にいてみても気持ち悪いだけにしかならないっ。想像だけで吐きそうな兄以外の男は、現実でもやっぱり変わらなかった。どんないい人でも最低なやつでもっ。それは数を重ねても変わらなかった。触れらたら痒くて苦しくて逃げ出した。


わたしの心も身体も兄にしか反応しない。――想像でしか語れないことだけど。