「ご苦労さん」
あの男は、湯飲みを受け取ると
美桜の頭をポンポンと撫でてあげていた。
「どういたちまちて…」
美桜は、ニコッと微笑んだ。
私は、それを見ながら感動する。
偉いわよ!
美桜…お茶を無事に運んで
『……。』
しばらく沈黙が続く2人。
「よし、ちゅぎも美桜が運ぶのよ!」
そう言いながらこちらに向かってきた。
えっ?
まだ運ぶ気なの!?
「美桜。こっちは、ママが運ぶからいいわよ」
「やぁ、美桜が運ぶのよ!」
もっと、もっと…とねだってきた。
「えっ…でも大丈夫?
転ばないでよ」
心配そうにもう1つの湯飲みを渡した。
「大丈夫よ…よいっちょ」
小さな手で湯飲みを受け取ると
少しずつ歩き出した。
だが、やっぱりロボットみたいで
ぎこちない歩き方だ。
見てる方は、ハラハラさせられる。
転ばないでよ!?
あぁ、危ない。
ハラハラしながら、美桜を見守る。



