「分かったわ。
じゃあ、お茶を1つ持って行ってくれる?」
「あ~い」
手を挙げて元気に返事する美桜。
大丈夫かしら…?
美桜に湯飲みを1つ持たせる。
熱くないように少し冷ましてから
「よいちょっ、よいちょっ」
美桜は、両手で持ちよちよちと
歩き始めるのだが緊張してか動きが
ロボットのようになっていた。
「美桜…大丈夫?
無理ならママが代わるわよ?」
「よいちょっ、よいちょっ」
美桜は、私の言葉を無視して一生懸命運ぶ。
小さな手では、湯飲みが大きく見える。
私は、ハラハラしながらその光景を見ていた。
向こうを見るとまだ
会議の打ち合わせをしている2人。
だが、アイツが美桜に気づいた。
「それでが……プロジェクトとしては…社長?
どうかなさいましたか?」
気付いた秘書の笹野は、同じ方向を見た。
すると目には、ロボットのように
必死にお茶を運ぶ美桜が映った。
「えっ?」
「…まるで、カラクリ人形みたいだな」
ボソッと呟くアイツ。
やっとソファーの所まで運び出した。
「あい。どーじょ」
アイツに湯飲みを差し出す美桜。



