「…お前。もうすでに
分かっていたのではないのか?」
ビクッ!!
アイツの言葉に反応してしまう。
「お前は、世間知らずだが馬鹿ではない。
アイツの本性も不倫も本当は、
気づいていたのではないか?
ずっと前から」
「……っ!!」
違う…私は……。
蘇る記憶は、隆史が若い女性とホテルに
向かっている映像だった。
信じたくなかった。
隆史の事を愛していたから
だから、会社が傾いてもお酒に溺れて
暴力を振るわれても私は…。
「あんたは、逃げていただけではないのか?
真実から目を逸らして俺を憎む事で
嘘だと信じ込もうとしたんだろ」
違う……。
「私は、逃げてなんかいない」
これ以上聞きたくない。
身体が、ガタガタと震え上がる。
気持ちが悪い。



