「私も素敵なご主人様だと思いました。
私達にも気遣いをして下さって
申し訳ないぐらいでした」
彩美までそう言ってきた。
「あ、あんなの猫かぶってるだけよ!
本性は、凄く嫌味しか言わないし意地悪で
それから…」
それ以上出てこなかった。
あの男を知れば、知るほど分からなくなっていく。
会社を乗っ取り隆史を死に追いやった男。
なのに…。
フッとあの記憶を思い出してしまう。
必死に自分に言い聞かせた記憶。
そうではないと困るの。
アイツが嫌な奴じゃないと…。
「梨花?梨花しっかりしい。
大丈夫やねんか?真っ青やで…」
ハッ!!
すみれの言葉にハッとさせられた。
「う、うん。大丈夫
ちょっと疲れが残ってるだけ
今日も暑いし」
必死に誤魔化した。
「確かに今日も暑いですからねぇ~」
彩美は、眩しそうに空を見て呟いた。
今日も朝だというのに青空で
強い日差しが私達を照らした。
蝉も鳴き出してうるさいぐらいだ。



