「さて、風邪を移されたらかなわん」
そう言い小鍋を持って部屋を出ようとする。
だが美桜は、ベッドのそばから動かない。
「おい、行くぞ」
アイツが呼んでいる。
「美桜。ママは、もうねんねするから
おじさんの所に行ってなさい」
そう言うと
「ねんねしたらお風邪しゃんにゃおりゅ?」
不安そうに私を見つめてきた。
「えぇ、すぐに治るわ」
ニコッと微笑むと
納得したのかアイツの所に行ってしまう。
ドアが閉まると何だか静かになる。
「……。」
アイツに貼られた冷えピタに触れる。
ひんやりする…なのに身体は、ポカポカした。
「早く治さなくちゃあ…」
布団の中に潜り横になった。
変なの……。
風邪をひいているせいかしら?
何だか人の厚意が身に染みる。
目をつぶるとほんのりと涙が出た。
悲しみの涙ではない。
感動した時の涙に近いかもしれない。
それは、やっぱり
風邪をひいているせいよね…きっと。



