「おい、人の部屋で何をしている?」
ハッ!!
パッと振り向くと
アイツがいつの間にか帰っていた。
無我夢中で探していて気づかなかった。
どうしよう!?
「あ、あの…お帰りなさい」
「ただいま。で、何をやっているんだ?」
疑うように見るアイツだった。
(うっ…)
隠した所で変に疑われてしまうし
言いたくないけど
「指輪を探していたの。
私の結婚指輪…」
正直に話す事にした。
「…指輪…なんてもう必要ないだろ?
お前の夫は…もう死んだんだ」
「必要よ!!
だって…あの人の形見だもの」
思わず叫んだ。
あなたにとったら必要の無いものかもしれない。
だけど、私にしたら大切な物。
「…あなたには、分からないわよ!!
本気で誰かを好きになった事がない
あなたには」
言っている事は、ただの八つ当たりだ。



