「私、さっきまで、一人になりたい・・・なんて思ってました。けど、今。空さんがいてくれて良かったです。」



にへへと自分でも変だなと思うぐらいの笑い方をしてしまう。




「なんだよ、急に。」




「私、みんなが羨ましい。」



私は、空さんに、自分のコンプレックスを話した。聞いてもらうのは、恥ずかしいと思ったけど、聞いて欲しかった。





「そうか。」




空さんは、眼を細めて少しだけ笑う。



タンポポを優しく撫でながら、呟いた。





夜空は、星がいっぱい広がっていて、幻想的だな・・なんてちょっと思った。




「私・・・何でも出来るようにないたい。美玲みたく完璧になりたいし、千晴さんみたいに、いつも明るくいたい。和樹みたいに、涙なんて見せない人になりたい。咲良さんやゆかりさんみたいに、仕事も立派に出来るようになりたい・・・です。」




思うように行かない自分。



人を羨ましいと思う自分。




みんなに、どう見られてるか気になる愚かな自分自身。





「そんなのムリに決まってるじゃん。」




空さんのその言葉に少しムッとする。




「小海は、世界でひとりしかいないんだから、誰かになりたいなんて、無理な話しじゃん。」




「・・・・・・」




上手く行かない自分が悔しくて、悔しくて、悔しくて・・・
葛藤するしか、道はないように思えてくる。





「大丈夫だよ、おまえは、自分らしくやれば良い。」





泣きそうな私を空さんの温かい掌で撫でてくれる。



「小海は、小海だろ?」




「私は、私?」



「そう」


タンポポは、クリクリとした大きな目で、私と空さんを交互に見ていた。




世界が一瞬にして、広がった。