くすんだ街

走って走って走って――

漸く駅が見えてくる。

二人はホッとして顔を見合わせた。
しかし、その視界にたくさんの少女たちの姿がうつった。

皆一様に虚ろな目をしている。
感情のない眼差し。

そして、真ん中にはさきほどスグルが殴り倒した工場長がいた。

感情が不要だと言ったその人物は、感情をむき出しにした血走った目で二人を睨んでいた。

スグルは彼女を庇うようにしてその集団と対峙する。