くすんだ街


二人で街中を駆け抜ける。

時折、視線を交錯させ照れたようにお互い微笑む。

街では見られるはずのない光景。


「最後の電車に乗れば、この街を出られる」


走りながらスグルは言った。。

スグルが感情をなくしながらも丘から見下ろしていたもの――それは、日に二回だけこの街に物資を送ってくる貨物列車だったのだ。